【岡山市】岡山県庁舎横の旭川の中にある200tを超える巨大なゲート。何のためにあるのか調べてみました。
今回は岡山県庁舎のすぐ東を流れる旭川の中に建つ巨大な構造物のご紹介です。
↑「新堰(しんぜき)」と呼ばれるこの施設、旭川の土手沿いや相生橋を通る際に見かけられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これほど大きな構造物が一体何のために建造されたのか気になり調べてみました。
なお、今回の記事を作成するにあたり、
◎岡山県備前県民局農林水産事業部
◎岡山市中区役所農林水産振興課
◎新堰管理事務所
の職員の方々からお話をお伺いしました。
新堰の概要について
↑県庁通りの相生橋から旭川下流方向を見たところ。
相生橋の下流およそ200mのところにある「新堰」は、可動堰と呼ばれる施設に分類されます。
赤く囲った部分はゲートと呼ばれ、垂直方向に動いて旭川の流れを堰き止めたり開放したりする働きをします。
↑新堰には旭川を横断する管理橋(かんりきょう)が架けられていて、一般の方も徒歩・自転車で行き来できます。
↑管理橋から見える位置に工事銘板が取り付けられていました。
2門あるゲートは左右で多少大きさが違うものの、どちらも重量が200tを超える巨大なゲート。
”右岸”・”左岸” とあるのは、河川の下流方向を向いて右手側が右岸、左手側を左岸と言います。
昭和52年完成ということは、今年(2022年)で完成から45年が経過しているということに。
↑ゲートが上にある時は、管理橋から至近距離で見ることができます。
↑200tを超える巨体ですが、片側をわずか6本のワイヤーで吊り支えています。↓
↑右岸側の土手から新堰を見るとこんな感じ。
ゲートは水面よりも高いところにあるので、この時点では旭川の流れは何も制御されていません。
新堰の役割について
↑毎年6月中旬から9月末まで新堰のゲートは下ろされます。↓
その理由は農業用水を取水するため。
今年(2022年)は6月10日に新堰のゲートが下ろされました。
ゲートを閉めると旭川の水位は上昇して、高い水位を保ったまま赤い矢印の方向にも水が流れていきます。
およそ600mほど下流に進むと…
↑新地堰という名前の可動堰。
新堰とはタイプが異なり、普段は川底に格納されています。
農業用水を取水するときは油圧シリンダーが伸びてゲートを起立させます。
上の画像は堰が起立している状態です。
↑新地堰を上流から見るとこんな感じ。
ゲートの左岸側には取水口があります。
↑取水口に取り込まれた水は暗渠(あんきょ)と呼ばれる水路のトンネルを通って…
↑およそ700mほど下流にある樋門(ひもん)まで送られます。
↑樋門を開けると、水は岡山ガス横の桜並木がある水路を通り倉安川へと入っていきます。
当初、新堰のみで完結する役割があると思い調べ始めましたが…
「旭川の水を、旭川と百間川に挟まれた倉安川以南の水田地域に供給する」という全体の目的の一部を担っているということが分かりました。
新堰→新地堰→暗渠→樋門→倉安川という連係プレーで水田が潤っていたのでした。
ところで「新堰」という名前が付けられているくらいだから、以前にも堰があったのではないかと思い尋ねてみたところ…
かつては木製の板を人力で運び、川を堰き止めていたそうです。
大変な重労働だったようで、右岸側の土手には水の当番をする人々が寝泊まりする小屋まであったそうです。
現在の新堰は電動ウインチで開閉できるようになっていますが、旭川流域で大雨が降ったり、ダムの放流がある際はゲートを上げる操作が必要になるそうです。
◎今回は岡山県庁舎の横にある「新堰」や関連の施設についてご紹介しました。
新堰の場所はこちら↓