【岡山市中区】Googleマップでも分かるほど大きな ”T字型の構造物” が旭川に多数存在! その正体を調べてみました。
↑旭川の左岸(※1)の土手沿いを通っていると、何やらT字型をした通路のようなものがありました。
人の手によって作られたものであることはすぐに分かりましたが、一体何に利用するためのものなのでしょうか?
(※1)河川を上流から下流に向かって眺めた際、左側の岸を左岸、右側の岸を右岸と呼びます。
↑よく見ると、下流にも同じ形をした構造物がいくつもあります。
↑場所は、中区桜橋1丁目の「岡山ガス」の巨大なタンクがある辺り。
↑右岸側から見るとこんな感じです。
Googleマップで調べてみると…
↑河岸から河川の中央に向かって突き出した「T字型」がいくつもあることが分かります。
用途が不明なことに加えて、もう一つ不思議なのが、対岸である右岸側にはこのT字型の構造物が一つも存在していないということ。
↑Googleマップで見る限り、旭川の中にある「T字型」は、岡南大橋の北(中区江崎)辺りまで分布しているようです。
謎のT字型の正体を突き止めようと、日を改めて旭川を管理している「国土交通省 岡山河川事務所」を訪ねました。
事前に電話をして疑問に思っていることをお伝えしておいたので、どんな回答がいただけるのか楽しみ…
今回の疑問に対しては、資料まで用意していただきました。
あのT字型の構造物は「ケレップ水制(すいせい)」という名前。ケレップ水制を設置した河岸は水の流れが遅くなり、その分対岸の流速が早まるという効果があるそうです。
オランダ人技師によって技術が伝えられ、昭和9年から同19年にかけて設置されました。
当時この辺りは船の行き来が盛んでした。
流れが緩やかで土砂が堆積しやすい旭川の下流部にケレップ水制を設置したことで、右岸側の流速を早め、水深を維持して航路を確保することができたそうです。
ケレップ水制は、桜橋から岡南大橋にかけての範囲に19基現存しています。原型を保ったケレップ水制は全国的にも珍しいそうです。
岡山河川事務所でお話を伺った後、再び「ケレップ水制」を見に行ってきました。今回は草をかき分けて目の前まで近寄ってみました。
この辺りは感潮区間(※2)で、ケレップ水制周辺には干潟が形成され、様々な生物の生息・繁殖環境となっているそうです。
(※2)潮汐の影響を受けて、河川の水位や流速が変動する区間のこと。旭川では河口から県庁舎横の新堰辺りまで。
◎今回は、旭川の「ケレップ水制」についてご紹介しました。
記事の作成に当たっては、国土交通省 岡山河川事務所の職員の方からお話を伺うとともに資料を提供頂きました。ありがとうございました。