【岡山市北区】千手観音を描き続けて3,000点。岡山市在住「お寺めぐり画家」の制作現場を見てきました。
今回ご紹介するのは、岡山市在の ”お寺めぐり画家” 尾中康宏さん(38才)。
長年にわたって千手観音を描き続けて、作品の数は優に3,000点を超えているとのこと。
今回、移動販売用の車両に絵を描く制作現場を見せていただけるということで、北区矢坂本町の倉庫にやって来ました。
取材に訪れたのは2023年1月。
◆尾中康宏さんのご紹介
尾中さんは小学6年生のころ、TVゲームの必殺技で登場する “千手観音” のカッコよさに衝撃を受け、以来千手観音の魅力に惹きこまれていきました。
CM制作会社や高級腕時計の販売といったお仕事に就かれていましたが、ライフワークともいえる千手観音の描画に集中しようと、サラリーマン生活に終止符を打ちました。
その後、まさに仏縁としか言えないような不思議なめぐりあわせで、個展の開催・御朱印帳の制作・1,000秒であなただけの千手観音を描く屋台の開催などをされるようになりました。
◆制作現場に密着
今回尾中さんが受けた依頼というのは、駄菓子の移動販売を行っている「夢の駅 駄菓子号」の車体に絵を描くというもの。
私が現場を訪ねた際には、すでに左右の側面は制作が終了していました。
「夢の駅 駄菓子号」の店主は、数々のイベントやマルシェの開催も手掛けており、出店されるお店の様子がほのぼのとしたタッチで描かれていました。
↑さて、これからいよいよ車体後部に取り掛かります。
ここには大きな千手観音様を描くそうです。
偶然にもこの部分は ”観音開き” の扉。
目を閉じ、合掌してから制作に取り掛かります。
↑尾中さんの描く絵は常に下書きなしの一発勝負。
最初に千手観音の眼を描き、続いてお顔の部分に取り掛かりました。
↑着手からおよそ1時間余り、サインを入れて完成です。
今回の作品だけで、油性マジックを6本使い切ったそうです。
↑幸せを運ぶ鳥として右上にはコウノトリの姿。そして左には、尾中さんにとって ”自由の象徴” であるというネコも登場。
「夢の駅駄菓子号」が益々繫栄するように想いを込めて、千手観音の手は、たくさんのお客さんや出店者をイメージして描いたそうです。
※この日の様子を動画サイトで見ることができます。
◆1,000秒であなただけの千手観音を描く屋台
ここからは、昨年(2022年)7月にプレステージ城東で開催されたイベントの様子をご紹介。
屋台で ”あなただけの千手観音” を描いていただきました。
↑5cm四方の紙に黒のボールペンで、その人だけのオリジナル千手観音を描いていただけるというもの。
千手観音にちなんで、時間は1,000秒、料金は1,000円と、「千」にこだわっています。
楽しく談笑しながら自分だけの千手観音が出来上がっていきます。
↑こちらが、私が描いてもらった千手観音。
号外NETのライターをしているということで、手にペンを持った千手観音さまを描いていただきました。
◆ONAKAGASUITAプロジェクト
私が千手観音を描いてもらったのと同じ日に、「ONAKAGASUITA(おなかがすいた)プロジェクト」が始まりました。
尾中(おなか)という苗字にちなんで立ち上げたプロジェクト。
一手形300円の募金で子ども食堂を支援するというもの。
募金された方は、ご自身の手形をラミネートして、尾中さんが描いた千手観音の「手」として貼り付けていただけます。
↑千手観音を描き上げた直後からプロジェクトに賛同する方々が現れ、手形が貼り付けられていきました。
↑こちらは、たくさんの手形でぎっしりと埋め尽くされた千手観音。
尾中さんに伺ったところ、現在は4体の千手観音がいらっしゃるとのことで、手形の数もどんどん増えているそうです。
◆観音様号のご紹介
↑尾中さんの自家用車。その名も「観音様号」。
2021年12月に東区西大寺中の西大寺観音院境内で、2日がかりで描き上げたもの。
千手観音にちなんで、ナンバープレートの数字も「1000」にしてあります。
車体に油性マジックで直接描いたあと、表面をコーティングしたそうです。
◎今回は、岡山市在住のアーティストで、「お寺めぐり画家」というユニークな肩書をお持ちの尾中康宏さんをご紹介いたしました。