【岡山市東区】800年前に奈良東大寺の瓦を焼いていた窯を発掘調査中。1日限りの現地説明会はお見逃しなく。
↑こちらは東区瀬戸町万富にある丘陵地です。
一見何の変哲もない山の斜面にしか見えませんが、じつはこの辺りは、『万富東大寺瓦窯跡』という国指定の史跡になっているところです。
万富東大寺瓦窯跡について
平安時代末期の源平の戦いで、奈良の東大寺は焼失しましたが、その後朝廷や鎌倉幕府の支援の下、東大寺は再建されることになります。
そして再建に使用された瓦が、まさにこの地で焼かれていたということです。
製造された瓦は30万枚~40万枚ということですから、かなり規模の大きい瓦の製造工場だったことがうかがえます。
昔から「東大寺」の刻印のある瓦が発見されていて、東大寺再建の瓦を製造していた窯跡として、昭和2年に国指定の史跡になりました。
過去の調査で瓦工場全体の範囲や窯が14基(伝承では30基あるとされている)あることなどが確認されてきました。
岡山市教育委員会文化財課の職員の方にお話を伺ったところ、今回の調査では、それぞれの窯の位置を特定することが目的のひとつだと教えていただきました。
2021年5月中旬に発掘作業が開始され、2か月後の7月中旬には調査を終了して元通りに埋め戻す予定で、7月3日(土)は音声ガイドによる現地説明会を開催するとのことです。
↑これまでの調査や記録などから、当時の様子を再現しています。当時の吉井川は現在よりも西寄りのコースを流れていたようです。
↑平成16年に建てられた史跡案内板。過去の調査で軒瓦や平瓦が出土していて、窯の構造や建物の基礎部分も明らかになっているようです。
↑こちらで製造されていた瓦のレプリカです。実物の約3倍の大きさだということです。
発掘現場の様子
気になる発掘現場ですが、掘削している範囲に立ち入らなければ構わないということで、間近で発掘現場を見せていただきました。↓
↑斜面上部から撮影した発掘現場の様子。瓦の破片が多数出土しています。
↑斜面の下から発掘現場を撮影。
今回の発掘調査の最も北側の部分です。斜面の部分は少し表土を取り除いただけで800年も前の様子が現れています。
現地で調査に当たっていた職員の方は一目見てどこが自然の地層で、どこが窯の部分か見分けることが出来るそうです。
来年も引き続き調査を行う予定で、今回発掘した範囲よりも北に場所を移動して調査するとのことでした。
東大寺瓦窯跡へのルート
岡山市中心部方面から現地に行く場合、県道96号(岡山赤穂)線を利用するのが便利ですが、JR万富駅から徒歩でも10~15分程度で行くことが出来ます。
↑県道96号(岡山赤穂)線を東に進み、JR万富駅前の交差点を通過して、次の信号(押しボタン式)交差点を左折します。
ちょうど右手には、「カットハウスちょっきん」があります。
↑道路左手には、「東大寺瓦窯跡」の看板も立っています。
↑交差点を左折するとこんな感じで、坂道になっています。
最初の分岐を右に入っていきます。
↑右折するとこんな感じで、左側が瓦窯跡の丘陵地になっています。
さて、今回ご紹介してきた「万富東大寺瓦窯跡」ですが、調査が終了しますと発掘現場は埋め戻されてしまうので直接見ることが出来なくなります。
ご興味のある方はぜひ現地説明会にご参加ください。
岡山市教育委員会文化財課の職員の方によりますと、現地説明会は、2021年7月3日(土)午前10時~午後3時の予定で、警報級の大雨でなければ雨天決行とのことです。
新型コロナウイルスによる感染症の対策として密を避けるために、常時音声ガイドを流す形式で行うとのことでした。
万富東大寺瓦窯跡はこちら↓